カテゴリ: つれづれ日記
諏訪地方の「戦争はいやだ 平和を守ろう会」というところから短歌集を出すので、言葉を寄せてほしいという依頼が来た。
この会は3年前に『不戦を誓う99人の手記』を出版している。この手記の第2弾として「平和短歌百人一首」を募集したところ、応募者が200人を超え、「二百人一首」として出版することになったという。出版予定日は真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まった12月8日。
ゲラが送られてきて目を通したところ、70代、80代の人が圧倒的に多く、最高年齢は100歳だった。ぼくの両親が生きた時代を共有した人々だ。200もの短歌を読んでいくうちに不思議な力に心を動かされているような印象を受けた。身近な人を失った悲しみや、戦争中の苦しい思いが一つのうねりのようになって、ぼくの心に迫ってきた。いや、200の短歌の向こう側にいる、無念の思いをいだきながら亡くなっていった、たくさんの人々の思いがあふれ出て、ぼくの胸に迫って来たといったほうがいいかもしれない。
短歌というものは短い言葉の中に思いを込める。この「二百人一首」は語りつくせない思いがあふれ出ていて、言葉の向こう側に広がっていた。
戦後65年、ぼくも含めて、戦争を知らない世代が圧倒的に多くなった。国連軍に参加すべきだとか、憲法9条を変えて、きちっと軍隊を持つべきだという人もいる。戦争の実感を戦後世代が持つことは難しいが、このような歌集に触れることは大切だと感じた。日本が国家として人を殺さずに65年間こられたということは、平和憲法があったからに他ならない。国家の権力で、庶民の悲しみを生み出してはならないと思う。
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