カテゴリ: つれづれ日記
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山が白くなると、今年も終わりに近づいたと思う。
薪の燃える炎を眺め、はぜる音を聞いていると心が無になって、古からの時の流れのなかに身を置くことができるように感じる。縄文の人々にとっては、冬を生き延びるためには炎がなくてはならなかった。
昨日、今日と奥蓼科の明治温泉へ出かけた。信州自遊塾の小旅行講座「カラマツストーブを囲んで信州の森を想う」に参加するためだ。標高千数百メートルの明治温泉では、今朝、車の窓に氷が張り付いていた。
講師である諏訪自然塾の塾長、清水馨さんは、野生植物のエキスパートであると同時にカラマツストーブ普及LLPの代表でもあり、縄文時代にも、大変詳しい人である。
清水さんは標高1200メートルあたりにも、縄文の遺跡があることを教えてくれた。縄文人がいのししを獲るための落とし穴もあった。同じエリアにある白井出集落はたくさんの湧水があるところで、現在、日本の集落の中でもっとも高い地域にある集落なのだそうだ。ノルウェーに行ったときも感じたけれど、人はどうしてこんなにきびしい環境の中にも、集落を作るのだろう。冬の寒さは大敵であっても、まったく涸れることのない湧き水があることや、狩猟の条件が整っていることのほうが大切だと判断した人々がいたにちがいない。
この地域にはダム計画があった。清水さんらが中心になって進めた反対運動の結果、ダムは中止になり、40ヘクタールに及ぶ計画跡地は、いま、自然林が生まれ始めている。カラマツ林が伐採された後10年以上放置されたその地には、130種以上の植物が姿を現しているという。この自然林を大切にしようと、諏訪自然塾の人々は考えている。現代において、人が手を加えない森があらたに生まれるということは稀有なことだ。子どもたちが、自然を学ぶ場にこの自然林がなることを願わずにはいられない。
カラマツストーブを囲んで、清水さんの話をうかがったが、このカラマツストーブは大変優れもので、間伐材を使って、こんなにあたたかく、扱いやすいストーブがあるのかと、あらためて感心した。(詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。http://karamatsu-stove.jp/)
どうも、われわれは便利さを求めるあまり、スイッチ一つで温まるものを求め続けてしまったようだ。木を扱い、炎の力を感じることによって、自然とともに生きる人間の感覚が目覚める喜びを感じた。
明日は早起きをして林の中をゆっくり歩いてみたい。夜更かしをせずに、夜明けとともに目覚めるような生活に切り替えようか。
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