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海底電車

海底電車
(松森清昭/絵 松本猛/文・構成)
1,500円(税別)
《童心社》

 

海底電車

絵本『海底電車』について
松本 猛 

『海底電車』を作ることになったのは、松森さんの絵を拝見したことがきっかけでした。何点か見せてもらった絵は、どれも水の底にある不思議な街であり、そこには電車が描かれていました。
「なにか、水の底って記憶がたまっているような気がするんです」
松森さんはそう語りました。
30年以上も長野県で中学校の美術の教師をしながら、松森さんはずっと水の中の街の絵を描き続けていました。そして驚いたことに、私が若いころに書いた『絵本論』という本の読者で、いつか絵本を描きたいという思いを30年以上も胸に秘めていた人でした。
私は松森さんの作品からインスピレーションを得て、絵本の案を考え始めました。
私の記憶の海には、世界各地で目にした印象的な風物、人類が生み出した美しくも不思議な建造物がいくつも沈んでいました。
「松森さんの描くあの電車に乗って、記憶の海を旅しよう」
このアイディアが生まれるとストーリーは自然に浮かんできました。
『海底電車』ができるまでには2年半の歳月を必要としました。私自身が撮影した写真をはじめ、さまざまな資料にあたり、イメージを膨らませ、松森さんは数えきれないほどの習作を描いてくれました。

この絵本を手にした子どもたちが、海底電車に乗って、主人公のてつおとともに不思議な水の中の旅を楽しみ、さらに、この幻想的な世界を通して、人類がつくってきたさまざまな文化や歴史に興味を持ってくるならばこんなに嬉しいことはありません。

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