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「エジプトの魅力」
2年前、ルクソールの遺跡や、カイロに近いギザのピラミッドとスフィンクスを見る機会があった。なぜ、古代エジプト人はあれだけの巨大な建造物を作ったのだろうという不思議な感動に包まれた記憶がある。国立カイロ博物館ではおびただしい数の収蔵品を前に文化の質の高さに圧倒された。
そのときは信濃美術館でエジプト展を開催できるなど、夢にも思わなかった。ぼく自身は今回の展示を楽しんでいるのだが、アンケートを見ると「期待はずれ」という言葉が時々ある。「満足度=期待度分の充足度」という数式がある。分母の期待度が高ければ満足度は落ちる。
テレビで見るエジプトの特別番組は実写やCGを駆使し、ダイナミックにエジプトの死生観に迫る。それに比べれば、本展の出品物は確かに地味かもしれない。しかし、ぼくは、カイロ博物館ではこんなに物をじっくりと見ることはなかった。大地と抱合するような「復活するオシリス神」の優雅さには感動した。猫は愛と音楽とダンスの神、バステト神。その像からは猫への深い愛が感じられる。
巨大スケールのエジプト文化には確かに圧倒されるが、小さなもののなかに込められている精神も見事なものだ。 古代エジプト人はたくさんの神とその物語を作った、想像力にあふれた民だった。本展でその魅力の一端を感じていただければうれしい。(エジプト展は県信濃美術館で5月31日まで)
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