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長崎に原爆が落とされた8月9日、安曇野ちひろ美術館で松川村の中学生を対象に吉永小百合さんの原爆詩の朗読会が行われた。 吉永さんは原爆症に悩む役を演じたことを契機に1986年からボランティアで被爆者が書いた原爆詩の朗読会を始め、各地を巡って子どもたちに原爆の悲惨さを語り続けている。 朗読が始まると、中学生たちは詩に聞き入った。すぐれた俳優が心を込めて語る言葉には力がある。涙ぐむ子も少なくなかった。あの密度の濃い時間は子どもたちの記憶に深く刻まれたに違いない。 実は、朗読会の前日、吉永さんは来館者に混じって一人で美術館を歩いていた。絵を見たあとで、「『母べえ』の母親役を演じるとき山田洋次監督から渡されたのがちひろさんの描いたお母さんの絵だったの」と微笑みながら気さくに語ってくれた。 ところが取材に対しての大女優のガードは固かった。事前告知は不可。事前告知をすればサユリストが押しかける可能性があるからだろうか。インタビューも写真撮影も不可。撮影者は一人で写真は許可されたものしか使用できない。吉永小百合のイメージを守るというのは大変なことなのだろう。十代から50年もの間、女優として役を演じると同時に、女優吉永小百合を演じ続けてきた強さと、原爆詩の朗読を20年以上続ける信念とはどこかでつながっているように思われた。
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