松本猛(たけし) 公式サイト / 「あらたまの年に」 2009.1.1信濃毎日新聞「松本平タウン情報」展望台(エッセイコラム)に掲載

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「あらたまの年に」 2009.1.1信濃毎日新聞「松本平タウン情報」展望台(エッセイコラム)に掲載

更新日:2010.01.16

初春のお慶びを申し上げます。 地球が一回転すると一日が始まります。月が地球を一回りすると旧暦では新しい月がはじまりました。地球が太陽を一周すると新しい一年が始まります。 こう考えると生活のリズムというのは天体のリズムによって作られていることに気付きます。 年のうち春はきにけりひととせを こぞとや言わむ今年とや言わむ(年が明けてないのに春が来た。この年を去年といおうか今年といおうか) これは古今集の巻頭を飾る在原元方の歌です。旧暦では立春をはさんで一ヶ月くらいの間に正月が来たそうです。それなら正月に「新春」「迎春」「頌春」という言葉を使うことも納得できます。  正月は冬から目覚めるときだったからこそ、年の始まりになったのでしょう。 「あらたまの年」は新年のことですが、あらたまを漢字で書くと荒玉、璞となります。これは掘り出して間もないまだ磨いていない玉のことです。玉は魂(たま)に通じるそうです。魂も磨かざれば光なし、でしょう。除夜の鐘で煩悩を除去した新年は、新魂(あらたま)の爽やかな気持ちで始めたいものです。  あらたまの年行き返り春たたば まづわが宿に鶯は鳴け(万葉集・大伴家持  年が改まって春が来たらまず我家で鶯よないてくれ)   今年は自然を愛でながら万葉人のようにおおらかに生きたいものです。

松本猛

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