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イタリア半島を長靴にたとえれば、その先で蹴飛ばされている石がシチリアだ。 地中海最大の島で四国よりも少し大きい。「旅する者をシチリアが裏切ることはない」という言葉につられて、一月中旬、ワインと魚介料理と、ついでに文化遺産を楽しむためにシチリアに降り立った。 久しぶりの右側通行。マニュアル車の左ハンドルを握る。カーナビまでつけて準備万端と思ったのだが、そうは問屋がおろさなかった。制限速度は一般道90キロ、幹線国道110キロ、高速道130キロ。だが、守るのはアクセルを踏んでもスピードが出ないボロ車だけ。対向車が来ようがガンガン追い抜く。何回息を呑んだことか。フランスも早いがその比ではない。冷や汗をかきながら、それでも2、3日すると少しは慣れる。しかし、絶対慣れないのが旧市街だ。迷路のような細い道が入り組み、一通だらけで、突然進入禁止になったりする。街を作った人の頭脳はカーナビの能力の及ぶところではなく、ナビは完全に錯乱状態になる。「アーもうだめ」と観念するころ、妻が街へ飛び出す。クリーニング屋や美容室に飛び込む。言葉も通じないはずなのに、しばらくすると、店にいたおばちゃんが車で案内してくれること2度。 渡されたホテルの部屋の鍵でほかの部屋も開けられたり、変なことも多かったが、オレンジがたわわに実るシチリアの人は、誰もがめっちゃ、お人好しだった。
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