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「アバター」
世界一の興行収入に貢献するのかと思いつつ「アバター」を見た。2時間40分という時間を感じさせることなく観客を楽しませる映画作りは確かにすごい。
魅力はどこにあるのだろう。3DやCG技術による見事な映像はその一つだ。宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」や「天空の城ラピュタ」やスピルバーグ監督の「ジェラシックパーク」などのいいとこ取りをしているのはちょっと気になるがエンターテイメント映画に徹しているとすれば納得できる。しかし、それ以上にぼくが面白いと感じたのは物語を作る視点だ。今までのSF映画の多くは悪魔のようなエイリアンと戦う正義の地球人たちが主人公だった。ところが、「アバター」は地球に似た美しい神秘の星パンドラとそこに住む人間に似た民族を設定することにより、地球人がエイリアンとして描かれる。視点の逆転が新鮮だ。
実は、この地球人の姿は15世紀にはじまる大航海時代のヨーロッパ人に重なる。彼らはアジア、アフリカ、アメリカ大陸を次々と植民地化し、その地の自然と融合した文化を破壊し、莫大な富をヨーロッパにもたらした。さらに言えばベトナムやイラクでアメリカ流の正義を振りかざし、軍事力で他国を制圧しようとしてきたアメリカ軍を彷彿とさせるところもある。
この超娯楽映画大作の背後には現代社会、現代文明への鋭い批判がひそんでいる。
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