カテゴリ: つれづれ日記
昨日、安曇野ちひろ美術館で「らいてうとちひろ」についての対談があった。話し手は作家の太田治子さんと俳人の飯島ユキさん。太田さんは太宰治の娘で、30年ほど前、NHK日曜美術館の初代アシスタントをつとめていたが、そのとき、番組がいわさきちひろを取り上げて以来のお付き合い。ちひろに関してはたくさんの文章を書かれている。飯島さんは、安曇野ちひろ美術館が、ちひろの絵にあわせた俳句を募集したときの選者であり、若いときはらいてうの隣の家に住み親しくしていた方。飯島さんの編著で句画集でもある『らいてうの姿 ちひろの想い』(一兎社)に太田さんも鼎談の参加者として加わっていたことからこの対談が実現した。
らいてうはちひろより34歳年上だが、二人とも1962年に新日本婦人の会設立の呼びかけ人になっており、共通の親しい友人もいたことから、おそらく何度も顔を合わせていたに違いない。らいてうはいつもちひろの絵はがきを使っていたという。
二人とも年下の夫を持ち、太田治子さんはできる女は年下の夫を選ぶものだといっていた。話を聞きながら、二人の共通項は、表では極めて穏やかで静かでいながら、内面では一歩も譲らない強い信念を持っていたことだろうと感じた。らいてうは女性の社会的立場を確立した先駆者だが、ちひろも基本的には同じ考え方をもっていた。しかし、母は、声高に主義主張を語ることはなかった。自分の考え方は絵の中で語ろうとしていた人だった。
昨年、『ちひろと一茶』(信濃毎日新聞社)という本を出したとき、ちひろと一茶の架空対談を書いた。昨日の話を聞きながら、らいてうとちひろを対談させたら面白そうだ、とふと思った。それぞれの男性観や現代という時代をどう見るか、あるいは教育や子どもを取り巻く環境について、など自在に語らせてみたい。
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