カテゴリ: つれづれ日記
と歌うのは安曇野を舞台にした歌、早春賦だった。
3月も下旬というのに、このところ雪の舞う朝が続く安曇野。
それでも日差しが出れば、シジュウカラは春の歌を歌い、コゲラが木をつつき、ツグミの群れが田んぼに姿を表す。庭を歩いていて、枯葉の陰にフキノトウが顔を出しているのを見つけた。
よくよく眺めてみると蕾の中から芽が顔をのぞかせ、ひしめき合っている。おしくらまんじゅうをしながらあたりの様子をうかがっている子どものようだ。
信州ではフキノトウをフキッタマと呼ぶ人がいる。
「おい、フキッタマ、出てきたな」と心のなかで声をかけてみる。
かつて、絵本作家の田島征三が『ふきまんぶく』という素敵な絵本を作った。あの絵本ではこのフキノトウの芽がたくさんの女の子の顔になっていた。
そんなことを思い出しながらも、春の味を楽しみたくなって、今夜はフキッタマのパスタを食べた。
夜空を眺めると三日月の下に金星が輝いていた。
春の香りを味わいながら、同じ月と星が輝いているはずの福島では、フキノトウをたべられないのだと思う。
悲しい春を迎える人々がたくさんいる。
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