カテゴリ: つれづれ日記
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立春。春は名のみの・・・という言葉を使いことが多い近年、今日は名実ともに立春という感じだった。重いコートを脱ぎ、春の暖かさをしみじみと味わった。木や屋根から緩んだ雪が落ちる音に耳を傾け、日に暖められた土の香りを楽しんだ。旧暦の正月は今頃である。正月は春をめでたくなる時だったのだ。
もっとも、今日は温かかったといって、信州では、このまま春というわけにはいかない。寒の戻りは何回かあるだろう。
ところで、先日、友人の住む小田原を訪ねた。小田原城のあたりは梅が咲き誇り、寒桜まで咲き始めていた。海辺は砂が温められて、日向ぼっこをしながら、蕪村よろしく「春の海 ひねもすのたりのたりかな」と大海原を眺めた。
? 子どものころや若いころというのは、花も海もゆっくり眺めるということはなかった。あたりを見回すより、力の限り走り回り、目的に向かって突き進んでいたように思う。おそらく、エネルギーが満ち溢れている時代は他の命を愛でる余裕などなかったのだろう。
自然の姿の移ろいや、花を見つめる喜びをしみじみ味わえるようになったということは、うれしいことではある。けれど、それは、限りある命を意識する年齢になったからこそ、味わえるようになった喜びなのかもしれない。
ともあれ、初春を愛でることができた立春の一日だった。
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