カテゴリ: つれづれ日記
庭に蕗の薹を見つけた。刻んで、砂糖を少しだけまぶして鰹節と醤油をかけてご飯にのせて食べる。ほろ苦い、春の香りが口に広がる。
素揚げにすると、油の中で花びらが開くように広がる。塩だけで食べる。
山国の信州にも春の兆しが見えてきた。たしかに、うれしいのだけれど、これほど悲しい春も経験したことがない。被災地に本当の春が訪れるのはいつのことだろう。
明日の毎日新聞に、日本絵本賞の発表がある。審査委員長を務め、講評を書いた。力作ぞろいの楽しい絵本がたくさんあって、審査にも熱が入った。しかし、表彰式は行われない。被災した人々の気持ちを考えればやむをえないかもしれない。
今は、被災地の方々は生きるだけで精一杯だろうが、一日も早く、少しは余裕が出てくることを願わずにはいられない。そんな時、子どもたちに、楽しい絵本を届けたい。本のなかで夢を広げて、生きる力をふくらませてほしい。
絵本作家の田島征三さんの作品に『ふきまんぶく』という名作がある。まん丸い顔をした生命力あふれるふきちゃんという少女と蕗の話だ。土のにおいにあふれ、自然の生命力というものを感じさせる絵本だ。
被災地の子どもたちがたくましく成長してくれることを願う。東北の山野にも蕗の薹は姿を現しているだろうか。
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