カテゴリ: つれづれ日記
高畑さんが亡くなった。悲しいという思いをとおりこして、もうお話ができないのかという喪失感が大きい。
昨日、中日新聞と信濃毎日新聞から電話インタビューを受けた。この写真がその記事だが、これは語ったことのほんの一部に過ぎない。新聞記事だからそれは仕方がないが、少しばかり高畑さんから聞いた話をここに書く。
近年、高畑さんお会いして話すときほど楽しいことはなかった。今の日本社会や世界情勢のこともいわさきちひろのこともたくさん話したが、一番面白かったのは、絵巻の話やいろいろな画家についての話だった。高畑さんは平安時代の絵巻があそこまで発達した理由を考えていた。絵師の力量や、絵巻の紙質、テーマの多様さなどを頭において、とんでもないスポンサーの存在がなければあれだけのものは生まれなかったと語った。そのスポンサーは後白河法皇以外には考えられないとうのが高畑さんの意見だった。後白河法皇という人物についての高畑さんの洞察も興味深かったが、アニメーション監督として膨大な資金がなければアニメーション制作ができないことを知っていたからこそ、平安時代のスポンサーに考えが及んだのだろう。ことほど左様に、ヨーロッパの絵についても柔軟な考えを持っている方だった。った日本人の持っている他人と違うことをしたくないという集団性が前の戦争につき進ませたということもかたっており、現在もまたその危険性が迫っているとも語っておられた。平和と芸術を愛する博覧強記の巨人が一人逝ってしまった。
あんなにすごい人だったのに、だれにでも優しく分け隔てなく接する人だった。
高畑さんというすばらしい人に親しく接することができたという幸運に感謝したい。足元にも及ばないが、少しでもその生き方を学びながら生きていきたい。
ケータイでもご覧いただけます。
左のQRコードを読み込んでください。うまく読み込めない場合は下のURLを直接入力してご覧ください。
Copyright© Matsumoto Takeshi. All rights reserved.