19日(日)「日曜美術館」にスタジオゲストとして出演します。
「道」「残照」「光昏」「晩鐘」「白夜光」「夕静寂」「花明かり」「唐招提寺壁画」など東山魁夷の名作についてタップリと語ります。
通常は朝9:00~10:00、夜8:00~9:00の番組なのですが、朝、高校野球の中継が入ったときは、朝の放映のみ9月2日(日)に延期されます。夜の部はそのまま19日放映です。
魁夷に興味がある人もない人も、面白い番組になっていると思うのでぜひご覧ください。
このところ、東山魁夷関係の仕事が続いていて、7月には2冊の本を出しました。一冊は『東山魁夷と旅するドイツ・オーストリア』(日経新聞出版社)で、魁夷と写真の関係にはじめて論及した本です。魁夷は写真の腕も相当なもので、風景を切り取る感覚は写真家のセンスだったと思います。ぼくは3回にわたってドイツ・オーストリアを取材旅行して、魁夷の描いた場所を調査し、撮影してきました。絵と同じ風景が驚くほどよく残っています。ドイツ・オーストリアは自然も町並みもほんとうによく保存されていて、日本は見習わなければならないと痛感しました。
魁夷はまた、文明の急速な発達は人間と自然の関係を破壊し、人間社会は取り返しのつかないところに向かって走り続けているのではないかという警鐘を鳴らしていた人でした。昨年の原発事故を予言したような文章も残しています。魁夷のそういう文章も引用しています。
この本を持ってドイツ・オーストリアを旅すると、楽しいこと請け合いです。
もう一冊は創作ファンタジー絵本「白い馬」(講談社)です。魁夷はモーツァルトの音楽にインスパイアーされて数々の作品を描いています。表紙に使った「緑響く」はピアノコンチェルト23番の第二楽章の冒頭のイメージです。白い馬がピアノのソロの旋律で、森がオーケストラのイメージです。
魁夷のザルツブルク周辺の湖水地方やチロルの絵を構成して少し大人向きの、少年と白い馬の心の交流を幻想的な物語にして書きました。魁夷のモーツァルトへのオマージュが元になった物語です。物語を追いながら、魁夷の絵を画集よりもずっと楽しく鑑賞してもらいたいと思ってつくった絵本です。
本屋で立ち読みでもしていただければ幸いです。買ってくださればもっとうれしいです。
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松本猛